通勤時間が片道1時間30分、往復で3時間以上かかるという人は少なくありません。長時間の通勤は心身の健康を損ない、仕事とプライベートのバランスを崩す原因にもなります。
一方で、転職すれば通勤時間を短縮でき、ストレス解消や生活の質の向上が期待できるでしょう。
しかし、転職にはデメリットもあることを忘れてはいけません。ここでは、通勤往復3時間以上の人が転職を考える際のメリットとデメリット、注意点などを詳しく解説します。
通勤往復3時間以上の人が転職を考えるべき理由
通勤に片道1時間30分以上、往復で3時間以上もの時間を費やしている人は、転職を真剣に検討すべきでしょう。長時間の通勤は、心身の健康を損なうだけでなく、仕事とプライベートのバランスを大きく崩す原因になります。
長時間の通勤で心身の健康を損なうから
片道1時間30分以上の通勤を毎日続けていると、身体的な疲労が蓄積していきます。電車やバスの中での長時間の座位は、腰痛や肩こりの原因にもなるでしょう。さらに、満員電車のストレスは精神的な負担も大きく、うつ病などのメンタルヘルス不調を引き起こすリスクも高まります。
朝早くから家を出て、帰宅が夜遅くなるような生活が続けば、十分な睡眠時間も確保できません。慢性的な睡眠不足は、集中力の低下や免疫力の低下につながり、心身の健康をさらに損ねることになるでしょう。
仕事とプライベートのバランスが崩れるから
通勤に往復3時間以上もの時間を取られてしまうと、仕事以外の時間がほとんど確保できません。朝は少しでも長く眠りたいので余裕を持って家を出ることができず、帰宅後は疲れ果てて何もする気力が湧かないという状態では、趣味や自己啓発に時間を割くことは難しいでしょう。
また、家族との団欒の機会も減ってしまいます。平日は子供が寝てしまう時間帯に帰宅することが多くなり、ゆっくり話をすることもできません。休日も通勤による疲労を取ることに追われ、家族サービスがおろそかになりがちです。
通勤時間分の収入増加が見込めるから
自宅から職場までの距離が近ければ、通勤時間を大幅に削減できます。往復3時間かかっていた通勤時間が1時間以内になれば、その分の時間を他のことに充てることができるでしょう。
例えば、1日2時間の通勤時間短縮ができたとすれば、その時間を残業に充てることで収入アップが見込めます。月に40時間分の労働時間が増えれば、収入は大きく変わってくるはずです。
ストレス解消と生活の質の向上につながるから
長時間の通勤から解放されれば、心身のストレスが軽減されるのは間違いありません。通勤電車の中で揺られることによる疲労感からも開放され、毎日の生活を快適に送れるようになるでしょう。
さらに、自由になる時間が増えることで、趣味や学習、運動など自分の好きなことに打ち込めます。毎日の生活の質が向上し、充実感や満足感を得られるようになるはずです。
通勤往復3時間以上の転職のメリット
ここからは、片道1時間30分以上、往復3時間以上の長時間通勤から脱却するための転職のメリットを具体的に見ていきましょう。職場が自宅の近くになることで、どのようなプラスの変化が期待できるのでしょうか。
通勤時間の短縮で自由な時間が増える
何よりも大きなメリットは、通勤時間の大幅な短縮です。往復3時間以上かかっていた移動時間が1時間以内になれば、一日に2時間以上の自由時間が生まれます。
この新たに生まれた時間を、自己投資や趣味、家族とのコミュニケーションに充てることができるでしょう。今まで諦めていたことにもチャレンジできるようになり、人生の選択肢が広がるはずです。
ワークライフバランスの改善が期待できる
通勤時間が短くなれば、朝の準備にもゆとりが持てます。今までギリギリの出発時間だったのが、朝食をしっかり取ったり、子供と会話を楽しんだりする余裕が生まれるでしょう。
また、帰宅時間が早まることで、家族との団欒の時間も増やせます。子供の宿題を見てあげたり、夕食後にコミュニケーションを取ったりと、家族との絆を深める機会が増えるはずです。仕事と家庭のバランスが取れた生活を送れるようになるでしょう。
身体的・精神的な負担が軽減される
長時間の通勤による身体的・精神的な負担からも解放されます。満員電車のストレスから解放されるだけでなく、座りっぱなしの状態から開放されることで、腰痛や肩こりのリスクも減るでしょう。
通勤時間が短くなれば、十分な睡眠時間も確保しやすくなります。毎日の睡眠不足から解消されれば、集中力や判断力も高まり、仕事の効率アップにもつながるはずです。
自己投資や趣味の時間が確保しやすくなる
通勤で1日3時間以上を費やしていたら、なかなか自分の時間を作ることができません。しかし、通勤時間が1時間程度に短縮されれば、その分の時間を自己投資や趣味に充てられます。
例えば、英会話教室に通ったり、オンラインでプログラミングを学んだりと、スキルアップに時間を使えるようになるでしょう。また、ジムに通ったり、趣味のサークルに参加したりと、充実した私生活を送ることもできるはずです。
家族や友人との交流の機会が増える
通勤時間の短縮は、家族だけでなく、友人との交流機会も増やしてくれます。今まで仕事や通勤に追われて疎遠になっていた友人とも、食事や飲み会に誘いやすくなるでしょう。
人間関係の充実は、ストレス解消にもつながります。公私ともにバランスの取れた生活を送ることができれば、仕事へのモチベーションも自然と上がっていくはずです。
通勤3時間以上の往復移動からの脱却を目指す転職のデメリット
一方で、長時間通勤からの脱却を目的とした転職にはデメリットもあります。メリットだけでなく、考えられるマイナス面についても理解を深めておく必要があるでしょう。
新しい職場環境への適応に時間がかかる可能性がある
転職先の業務内容や社風が、前職とは大きく異なる場合、適応に時間がかかるケースがあります。組織の文化や人間関係にも慣れる必要があるため、当初は戸惑いを感じるかもしれません。
特に、職種や業界を変える転職の場合は、業務の進め方自体が変わってくる可能性もあります。新しい環境に慣れるまでは、ストレスを感じてしまうこともあるでしょう。
転職先が期待外れだった場合のリスクがある
「通勤時間が短くなる」という理由だけで転職先を選んでしまうと、他の重要な要素が疎かになってしまうかもしれません。実際に働いてみたら、仕事内容が自分に合っていなかったり、上司や同僚との相性が悪かったりするケースも考えられます。
希望条件に合致する企業でも、実際の業務や社風とのミスマッチが起こる可能性は常にあります。転職先が期待外れだった場合、再び転職活動をしなければならないリスクも発生します。
転職活動自体が負担になることもある
そもそも、転職活動自体が大きな負担となる場合もあります。業務と並行して転職活動を進めるのは容易ではありません。書類作成や面接対策に多くの時間と労力を費やすことになるでしょう。
現在の仕事が多忙な時期と重なってしまうと、心身の負担はさらに大きくなります。転職先が見つかるまでの期間は、プライベートな時間を犠牲にせざるを得ないかもしれません。
収入が一時的に減少する可能性もある
転職によって、収入が一時的に減ってしまうリスクもあります。特に、前職より規模の小さい企業に転職する場合、給与水準が下がることも考えられます。
また、転職先の給与制度によっては、ボーナスや賞与が前職よりも少なくなるケースもあるでしょう。年収の減少は、生活設計にも影響を及ぼす可能性があるため、注意が必要です。
通勤往復3時間以上の人が転職する際の注意点
通勤時間の短縮を目的に転職する場合、メリットとデメリットをよく吟味する必要があります。ここでは、長時間通勤からの脱却を目指す人が転職する際の注意点を確認しておきましょう。
通勤時間だけでなく、業務内容や企業文化も重視する
自宅から近い場所に会社があれば、通勤時間は確かに短縮できます。しかし、それだけを理由に転職先を決めるのは賢明ではありません。業務内容が自分のスキルや経験、興味関心に合っているかどうかを見極めることが大切です。
また、企業の文化や価値観が自分に合っているかどうかも重要なポイントです。どんなに通勤時間が短くても、社風になじめなければストレスを感じてしまうでしょう。
リモートワークの導入状況を確認する
近年では、リモートワークを導入している企業も増えてきました。オフィスに毎日通勤する必要がなければ、通勤時間の問題は解消されるかもしれません。
転職先候補の企業について、テレワークの実施状況を確認しておくと良いでしょう。フルリモートでなくても、週に数日在宅勤務ができれば、通勤負荷を大きく軽減できるはずです。
転職先の労働条件や福利厚生をチェックする
通勤時間が短くなっても、転職先の労働条件が悪ければ、トータルでの満足度は下がってしまいます。残業の多さや有給休暇の取得しやすさなども、事前に確認しておく必要があるでしょう。
加えて、福利厚生の内容も見逃せません。社会保険の整備状況や、育児支援制度の有無なども、働きやすさに関わる重要な要素です。総合的に判断して、自分に合った環境かどうかを見極めましょう。
自分のスキルと経験が活かせる職種を選ぶ
せっかく転職するなら、自分の強みを発揮できる職種を選びたいもの。これまでのキャリアで磨いてきたスキルや経験を、存分に活かせる仕事に就くことが理想です。
転職先の業務内容が、自分の専門性とマッチしているかどうかを入念にチェックしましょう。やりがいを感じられる仕事であれば、多少の通勤時間は許容できるかもしれません。
転職のタイミングを慎重に見極める
転職を決意しても、時期選びは慎重に行う必要があります。現在の職場で担当しているプロジェクトの区切りがついたタイミングで転職活動を始めるのが得策と言えるでしょう。
また、自分自身のライフステージとの兼ね合いも大切です。例えば、子育て中の人は、保育園や学校の行事などを考慮に入れる必要があります。家庭の事情とも照らし合わせて、最適なタイミングを計るようにしましょう。
通勤に3時間以上かかる人が転職せずにできる工夫
ここまで、通勤時間の短縮を目的とした転職について考えてきましたが、転職以外の選択肢もあります。通勤に片道1時間30分以上、往復3時間以上かかる人が、転職せずにできる工夫を見ていきましょう。
通勤時間を有効活用する方法を探す
移動時間が長いなら、その時間を有効に使うことを考えてみましょう。例えば、電車の中では読書や語学学習に取り組んだり、オンライン講座を受講したりするのも一案です。
スマートフォンやタブレットを活用すれば、場所を選ばずに学習を進められます。これまで無駄に感じていた通勤時間が、自己投資の機会に変わるかもしれません。
職場での働き方を見直し、効率化を図る
業務の進め方を工夫することで、長時間労働を減らせる可能性もあります。無駄な作業がないか、改善の余地がないかを検討してみましょう。
仕事の優先順位をつけて、メリハリをつけて取り組むことも大切です。残業時間が減れば、帰宅時間が早まり、通勤のストレスも軽減されるはずです。
リモートワークの導入を提案してみる
自社でテレワークが導入されていない場合、上司に相談してみるのも一案です。自宅で仕事ができれば、通勤時間を大幅に削減できるでしょう。
全社的な制度化が難しくても、自分の業務に限定してリモートワークを取り入れられないか提案してみる価値はあります。柔軟な働き方を認めてもらえれば、通勤負担を減らせるはずです。
通勤手段を変更し、負担を軽減する
電車通勤から、バスや自転車通勤に切り替えることで、ラッシュを避けられる場合もあります。徒歩や自転車なら、適度な運動にもなって健康増進にもつながるでしょう。
自家用車での通勤が可能なら、渋滞を避けるルートを選んだり、時差出勤を活用したりと、工夫の余地があります。柔軟な発想で、最適な通勤手段を探ってみましょう。
上司や人事部に相談し、改善策を模索する
通勤時間の長さが業務に支障をきたすようなら、上司や人事部に率直に相談するのも手です。自席の移動やフレックスタイム制の適用など、社内で取れる施策がないか提案してみましょう。
場合によっては、転勤のチャンスがあるかもしれません。社宅や独身寮の利用など、通勤時間の短縮につながる制度を紹介してもらえることも考えられます。自分から声を上げることが、改善への第一歩となるはずです。
まとめ：通勤往復3時間以上の転職は慎重に判断すべき
片道1時間30分以上、往復で3時間以上の長時間通勤は、心身の健康を損ない、仕事とプライベートのバランスを崩す原因となります。通勤時間の短い職場に転職できれば、ストレス軽減や生活の質の向上が期待できるでしょう。
ただし、転職にはデメリットもあることを忘れてはいけません。新しい環境への適応に時間がかかったり、想定外の課題が生じたりするリスクもあります。通勤時間の長さだけでなく、業務内容や企業文化、労働条件などを総合的に判断することが肝要と言えるでしょう。
一方で、転職以外にも通勤負荷を減らす方法はあります。通勤時間の活用法を工夫したり、職場での働き方を見直したりと、柔軟な対応を心がけましょう。制度の改善を会社に提案するのも有効な一手です。
自身の状況をよく見極めた上で、最善の選択をすることが何より大切。ワークライフバランスを保ちながら、充実したキャリアを築けるような決断を下したいものです。
