近年、紙の本を買わない人が増えています。電子書籍の普及やミニマリズムの影響などにより、書店で本を購入する人が減少傾向にあるのです。一方で、図書館や古書店の利用者は増加中。
紙の本を買わない人が増えることで、出版業界にも大きな影響が出ています。この記事では、紙の本を買わない人が増えている理由や背景、そして紙の本を買わなくても読書を楽しむ方法について詳しく解説します。
紙の本を買わない人が増えている現状
紙の本の売上は年々減少傾向にあります。その背景には、電子書籍の普及が大きく影響しているようです。
スマートフォンやタブレットの普及により、どこでも手軽に読書ができる環境が整ったことで、わざわざ紙の本を買う必要がなくなったのかもしれません。
電子書籍の普及により紙の本の売上が減少
電子書籍市場は年々拡大しており、2020年には前年比20%増の5,000億円規模に達しました。一方で、紙の本の売上は減少の一途をたどっています。
2020年の書籍・雑誌の推定販売金額は前年比7.3%減の1兆1,150億円。電子書籍の普及が、紙の本の売上減少に直結していることがわかります。
ミニマリズムの影響で物を持たない人が増加
近年、ミニマリストと呼ばれる、必要最低限の物だけで暮らす人が増えています。部屋に物を溜め込まないシンプルな生活スタイルは、若者を中心に支持を集めています。
本もデジタル化することで、部屋のスペースを取らずに済むため、ミニマリズムの影響で紙の本を買わない人が増えているのかもしれません。
図書館や古書店の利用者が増加傾向
紙の本を買わない一方で、図書館や古書店の利用者は増加傾向にあります。図書館の貸出冊数は2019年度に過去最高の6億9,184万冊を記録。
また、古書店での販売額も2020年は前年比3.2%増と堅調に推移しています。紙の本を買わずとも、図書館や古書店を活用することで、読書を楽しんでいる人が多いようです。
紙の本を買わない主な理由とは?
では、なぜ多くの人が紙の本を買わなくなったのでしょうか。その理由として、電子書籍の利便性や本を保管するスペースの問題、紙の本の価格の高さなどが挙げられます。
ライフスタイルや価値観の変化に伴い、紙の本離れが進んでいるのかもしれません。
電子書籍の方が手軽で場所を取らないから
電子書籍は、スマートフォンやタブレットがあれば、いつでもどこでも読むことができます。
通勤電車の中や旅先など、紙の本を持ち運ぶのが難しいシーンでも、気軽に読書を楽しめるのが大きな魅力。また、本棚を占領することなく、大量の本を保管できるのも電子書籍ならではの利点と言えるでしょう。
本を保管するスペースがないから
特に一人暮らしの人にとって、本を保管するスペースの確保は大きな問題。部屋が狭く、本棚を置くスペースがないという人も多いのではないでしょうか。
そんな時、電子書籍なら場所を取らずに大量の本を持ち歩くことができます。物理的な制約から解放されるのは、電子書籍の大きなメリットと言えます。
紙の本は値段が高いと感じるから
紙の本は、印刷や流通にコストがかかるため、どうしても電子書籍よりも値段が高くなりがち。特に単行本は1冊2,000円以上するものも珍しくありません。
一方で、電子書籍なら割安な価格設定が多く、気軽に購入できると感じる人が多いようです。コストパフォーマンスの面でも、電子書籍に軍配が上がりそうです。
紙の本を買わないデジタルネイティブ世代の特徴
紙の本離れが進んでいるのは、特にデジタルネイティブ世代と呼ばれる若者たち。彼らは幼い頃からデジタル機器に囲まれて育ったため、紙の本に縁がない人も少なくありません。
スマホで気軽に読書を楽しみ、SNSで本の情報を収集するのが当たり前。
いつでもどこでも読める電子書籍の利便性を重視する傾向にあります。
スマホやタブレットで気軽に読書を楽しむ
デジタルネイティブ世代にとって、スマホやタブレットは必須のアイテム。常に手元にあるデバイスで、電子書籍を楽しむのが自然な読書スタイルと言えるでしょう。
通学や通勤の移動時間、休憩時間など、ちょっとした空き時間を使って気軽に読書ができるのは、電子書籍ならではの魅力です。
SNSで本の情報を収集し、購入を決める
デジタルネイティブ世代は、SNSを情報収集の場として活用しています。Twitterや書評サイトなどで、友人や著名人のおすすめ本を見つけ、購入を決めるのが一般的。
書店で立ち読みをして本を選ぶのとは、また違った本との出会い方をしているようです。
電子書籍ならいつでもどこでも読める利便性を重視
「外出先でも読みたい本を読みたい時に読める」という電子書籍の利便性は、デジタルネイティブ世代に特に支持されているようです。
時間や場所に縛られることなく、自由に読書を楽しめるのは電子書籍の大きな強み。
どんなシーンでも本を手元に置いておける安心感は、読書家にとってかけがえのないものなのかもしれません。
紙の本を買わない層が増えることによる影響
紙の本を買わない人が増えることで、出版業界は大きな影響を受けています。書籍の売上減少による経営難や、書店の閉店、書籍取扱量の減少など、出版に関わる様々な分野に波及しているのです。
一方で、図書館の重要性が再認識されるなど、プラスの影響も出ています。
出版業界の売上減少と経営難
紙の本の売上減少により、出版社の経営は厳しさを増しています。大手出版社の中には、書籍部門の売上が前年比2桁減となったところも。
出版点数を減らしたり、人員削減に踏み切る出版社も出てきました。出版不況の深刻さがうかがえます。
書店の閉店や書籍取扱量の減少
本の売上減少は、書店経営にも大きなダメージを与えています。大型書店の閉店や、書籍コーナーの縮小が相次いでいるのです。
販売スペースが減ることで、書店で取り扱う書籍の量も減少。本との出会いの場が失われつつあるのは、読書文化の衰退につながりかねない問題と言えそうです。
図書館の役割と重要性の高まり
一方で、紙の本を買わない人でも利用できる図書館の重要性が改めて認識されるようになりました。
本を購入するハードルの高さから、図書館に足を運ぶ人が増えているのです。図書館が担う情報格差の是正や、地域コミュニティの拠点としての役割が、今後ますます大きくなりそうです。
紙の本を買わなくても読書を楽しむ方法
紙の本を買わなくても、読書を楽しむ方法はたくさんあります。例えば、オーディオブックを活用したり、電子書籍のサブスクリプションサービスに登録してみたり。
図書館や古書店を利用するのもおすすめです。自分に合った読書スタイルを見つけることが大切ですね。
オーディオブックで聞く読書を始める
活字を読むのが苦手な人でも、オーディオブックなら耳で読書を楽しめます。スマホにアプリをダウンロードすれば、いつでもどこでも朗読を聞くことができるのです。
音声で本の世界に浸れるのは、また違った読書体験。目では追いにくい長編小説も、耳で聴けば最後まで読み通せるかもしれません。
電子書籍サブスクサービスの活用
Kindle UnlimitedやYahoo!ブックストアなど、電子書籍のサブスクリプションサービスも充実してきました。月額定額料金を支払えば、何冊でも自由に読めるのが魅力。
気になる本を思い切り探索できるので、新しい本との出会いのチャンスが広がります。コスパ良く読書を楽しみたい人におすすめのサービスです。
紙の本を買わない時代でも残る本の魅力と価値
電子書籍の普及により、紙の本を買わない人が増えているのは確かな流れ。ですが、だからといって本の魅力や価値がなくなったわけではありません。情報の宝庫であり、知的探求心を満たしてくれる存在。そんな本の持つ力は不変のはずです。
電子書籍も紙の本も、そこに詰まった情報は同じ。メディアの形は変われど、本が私たちに与えてくれる学びや感動に変わりはありません。大切なのは、自分に合った形で本と向き合い、読書の喜びを味わうこと。紙の本でも電子書籍でも、本は私たちの人生を豊かにしてくれる存在であり続けるでしょう。
紙の本を買わない時代だからこそ、図書館の役割がクローズアップされ、電子書籍サービスが多様化しているのかもしれません。私たち読者にとって、本と出会うチャンスは増える一方。それぞれのスタイルで本の楽しさを堪能できる、それが今の読書事情と言えそうです。紙の本を買わなくても、本の魅力はしっかりと私たちのもとに届いているのです。